私たちが毎食口にしているといっても過言ではないお砂糖。グラニュー糖はお菓子作りに使ったり、三温糖は煮物に使ったりと種類の数だけ幅広い使い道がありますが、砂糖の栄養素やビタミン・ミネラルには違いがあるのでしょうか。
よく白い砂糖よりも三温糖のような茶色い砂糖の方が栄養があると言われます。ただ色がついている=栄養価が高いわけではない(1)のです。
砂糖に関する根強い誤解として、「白い砂糖は漂白している」「白い砂糖より三温糖の方が健康に良い」というものがあります。これらは砂糖の製造法や製品の成分などについて十分に理解されていない部分があるためだと思われます。
そこで今回は上白糖や三温糖、和三盆などの砂糖にどんな違いがあるのか、実際の栄養データを用いながら解説していきます。
このページに目を通せば砂糖について誤解していたことが分かるかもしれません。砂糖を選ぶときの参考になれば幸いです。
目次
砂糖には2つの種類がある
グラニュー糖、角砂糖、上白糖、黒砂糖など多くの種類がある砂糖には大きく分けて2つのジャンルが存在します。それが含蜜糖と分蜜糖です。
2つの違いは製造法。
含蜜糖は原料に含まれる栄養素を残したまま加工したもの、黒砂糖(黒糖)と和三盆糖の2つがこの含蜜糖です。含蜜糖は原材料の栄養素が多く残っているため、栄養価が普通の砂糖=分蜜糖よりも高いのが特徴です。
含蜜糖はミネラル豊富、分蜜糖は純粋な砂糖
「蜜を含む糖」と書いて含蜜糖。
ミネラル類を残した栄養価の高い砂糖。黒砂糖と和三盆糖が該当する。
対する分蜜糖はショ糖以外の栄養素を製造過程で取り除いたもの。私たちが普段よく口にする上白糖や角砂糖、グラニュー糖などはすべて分蜜糖です。
余分な栄養素を途中でカットする分蜜糖はミネラル類などの数値が低くなっています。
文字通り、蜜を分けた(除去した)糖類が分蜜糖。
上白糖、グラニュー糖など普段食べている砂糖のほとんどは分蜜糖。
三温糖は分蜜糖でミネラルは大したことない
煮物や照り焼きに使うことの多い三温糖。茶色いお砂糖なので普通の上白糖よりも栄養価が高いと思っていませんか?
実は、三温糖の茶色は原材料由来の色ではなく、製造過程でつくカラメル色なのです。つまり、三温糖はミネラル成分をほとんど含んでいません。
なのでカテゴリーも和三盆や黒砂糖とは違う分蜜糖の仲間なのです。実際にデータをみながら見比べていきましょう。
砂糖に含まれるミネラル成分を比較
食品名 | 灰分 | ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 | マンガン |
黒砂糖 | 3.6 g | 27 mg | 1100 mg | 240 mg | 31 mg | 31 mg | 4.7 mg | 0.5 mg | 0.24 mg | – |
和三盆 | 0.5 g | 1 mg | 140 mg | 27 mg | 17 mg | 13 mg | 0.7 mg | 0.2 mg | 0.07 mg | 0.3 mg |
上白糖 | 0 g | 1 mg | 2 mg | 1 mg | Tr | Tr | Tr | 0 mg | 0.01 mg | – |
三温糖 | 0.1 g | 7 mg | 13 mg | 6 mg | 2 mg | Tr | 0.1 mg | Tr | 0.07 mg | – |
上の2つが含蜜糖、下の2つが分蜜糖です。
カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの主要ミネラル成分の数値を見ると明らかですね。
黒砂糖と和三盆はどれもミネラル類が豊富に含まれているのに対して、上白糖と三温糖はミネラル成分がほとんど含まれていません。
たしかに、上白糖と比べれば三温糖は多少なりともミネラル類が含まれてはいるものの、絶対量は決して多くありません。
黒砂糖のミネラル成分は目を見張るものがある
上の表を見ると明らかなように、黒砂糖に含まれる栄養成分が他を圧倒しています。
同じ含蜜糖の中でも和三盆より黒砂糖の方がよりミネラル成分が多く残る製造工程を経ているため、数値によって10倍近くの成分差が開いています。
ビタミン類も含蜜糖が優秀
食品名 | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | 葉酸 | ビオチン |
黒砂糖 | 0.05 mg | 0.07 mg | 0.8 mg | 0.72 mg | 10 μg | 33.6 μg |
和三盆 | 0.01 mg | 0.03 mg | Tr | 0.08 mg | 2 μg | – |
上白糖 | 0 mg | 0 mg | 0 mg | 0 mg | 0 μg | – |
三温糖 | Tr | 0.01 mg | Tr | 0 mg | 0 μg | – |
ミネラル類で見てきたことと同じようなことがビタミン類の含有量についても言えます。
上白糖や三温糖が純粋な糖分の多い砂糖なのに対して、黒砂糖や和三盆はビタミン類も含まれています。
ただし、含蜜糖のビタミン類が分蜜糖より多いとは言っても、他の食材に比べたら決して多いわけではないので、ミネラル・ビタミン類を取りたいからと多量に食べるのはかえって健康に悪影響を与える可能性があるので注意してください。何事も適量が一番です。
カロリーの差はほとんどなし
食品名 | カロリー | 水分量 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
黒砂糖 | 354 kcal | 5 g | 1.7 g | Tr | 89.7 g |
和三盆 | 383 kcal | 0.5 g | 0.2 g | Tr | 98.8 g |
上白糖 | 384 kcal | 0.8 g | 0 g | 0 g | 99.2 g |
三温糖 | 382 kcal | 1.2 g | Tr | 0 g | 98.7 g |
ちなみに黒砂糖も上白糖もカロリーについてはほとんど有意な差は見られません。
100gあたりの数値で見ると30kcalぐらいの差こそあるものの、実際一度に砂糖を100gも摂取することはないので実際のカロリー差は気にするほどの量ではありません。これは炭水化物量(糖質量)についても同様です。
まとめ:ミネラル豊富なのは黒砂糖、三温糖は普通の砂糖と変わらない
以上が含蜜糖と分蜜糖を比較してみた結果です。
- 含蜜糖:黒砂糖と和三盆
- 分蜜糖:上白糖・三温糖・グラニュー糖など
製造法の違いでかなりミネラル成分が変わることが分かりました。繰り返しになりますが、色こそ茶色いものの三温糖はミネラル成分の少ない分蜜糖に属しているのでお気をつけください。
参考リンク
1. 白い砂糖の真実、そして三温糖との関係|農畜産業振興機構 2. 上白糖 | 商品情報 | 【スプーン印】の三井製糖株式会社*データの参照元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
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