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南国果実は普通のフルーツと比べて栄養が豊富なのか検証:トロピカルフルーツの栄養価は確かに豊富です。

バナナやマンゴーなど、南国由来のフルーツはその色合いや見た目から栄養豊富そうなイメージがありますね。ビビッドな赤色や黄色などを見るといかにもビタミンが豊富そうな感じがします。

私も東南アジアにはこれまで何度か行っていて、現地で腹痛に何度かなりながらも色々なトロピカルフルーツにチャレンジしてきているのですが、これまで具体的な栄養素が高いのか低いのかは調べたことがありませんでした。

イメージだけで栄養を語るのはよくないし、せっかく栄養素のサイトを管理しているということもあったので、今回は代表的なトロピカルフルーツの栄養を調査・比較することにしました。

調査方法は文部科学省の日本食品標準成分表から、南国フルーツ代表と日本フルーツ代表の栄養素・ビタミン・ミネラル順に比較する方法を取ります。まずは南国フルーツにどんなものが該当するのか、その定義から見ていきます。

トロピカルフルーツの定義

トロピカルフルーツもしくは熱帯果実にはどのフルーツが該当するのでしょうか。今回は参考文献として、

  • 『熱帯果実の特性と利用』(日本食品工業学会誌 / 日本食品工業学会 1980.06)
  • 『輸入トロピカルフルーツの性質 1 プロテアーゼ活性について』(中島 けい子, 続 順子 掲載誌 椙山女学園大学研究論集)
  • 『温暖化が後押し 国産化が進むトロピカルフルーツ』(井上 肇 農耕と園芸 59(2) )

以上3つの文献にあたってみました。『熱帯果実の特性と利用』では、

果実は育成または栽培される地域によって熱帯果実、亜熱帯果実、温帯果実、寒帯果実に分けられるが、その分類は明確なものではない。

熱帯果実の分類に明確な基準がない点、

バナナやパイナップルに代表されるように、主として熱帯地方や亜熱帯地方に生育、栽培された果実を指すのが一般的なようである。

また、一般的にはバナナのような熱帯・亜熱帯地方で生育・栽培された果実を指すとの記述こそありましたが、明確に熱帯果実を定義づけている資料は見つかりませんでした。

しかし、同資料『熱帯果実の特性と利用』では、主な熱帯果実の例として下記に掲載する20種類の果物がリストアップされていたため、その一覧を共有することにします。

アセロラ、アボカド、キウイ、グアバ、スターフルーツ、サポジラ、ドリアン、パイナップル、パッションフルーツ、パパイヤ、バナナ、パラミツ、バンレイシ、マカダミア、マンゴー、マンゴスチン、ライム、ランブータン、リュウガン、ライチ(一部フルーツを常用する名前に改変)

合計で20種類の代表的なトロピカルフルーツが並んでいますが、今回はその中から日本国内でも目にする・口にする頻度の高い以下の8つの果物を南国果実代表として設定することとします。

アセロラ、アボカド、キウイ、グアバ、パイナップル、バナナ、マンゴー、ライチ

国産フルーツ代表は日本でよく消費される果物8種類

今回の比較対象となるフルーツは、日本国内において消費されることの多い果物を8種類選びました。その一覧がこちら。

今回の選出基準については単純な消費量、あるいは原産国ではなく、季節ごとの果物を満遍なくリストアップした結果です。

いちご、みかん、柿、さくらんぼ、桃、梨、りんご、スイカ

それでは南国フルーツ8種類と日本国内でよく食べられるフルーツとを比較していきます。

南国フルーツのカロリーと三大栄養素

今回はどの果物が南国フルーツかを見分けやすいように南国フルーツの先頭に【南国】、そうでないものの先頭に【日本】をそれぞれつけてみました。

南国フルーツの栄養素比較
果物名 エネルギー(kcal) 水 分 たんぱく質 脂 質 炭水化物 食物繊維総量
【南国】アボカド 187 kcal 71.3 g 2.5 g 18.7 g 6.2 g 5.3 g
【南国】バナナ 86 kcal 75.4 g 1.1 g 0.2 g 22.5 g 1.1 g
【南国】マンゴー 64 kcal 82 g 0.6 g 0.1 g 16.9 g 1.3 g
【南国】ライチ 63 kcal 82.1 g 1 g 0.1 g 16.4 g 0.9 g
【日本】かき 甘柿 60 kcal 83.1 g 0.4 g 0.2 g 15.9 g 1.6 g
【日本】さくらんぼ 国産 60 kcal 83.1 g 1 g 0.2 g 15.2 g 1.2 g
【日本】りんご 皮むき 57 kcal 84.1 g 0.1 g 0.2 g 15.5 g 1.4 g
【南国】キウイフルーツ 緑肉種 53 kcal 84.7 g 1 g 0.1 g 13.5 g 2.5 g
【南国】パインアップル 51 kcal 85.5 g 0.6 g 0.1 g 13.4 g 1.5 g
【日本】みかん 46 kcal 86.9 g 0.7 g 0.1 g 12 g 1 g
【日本】なし 日本ナシ 43 kcal 88 g 0.3 g 0.1 g 11.3 g 0.9 g
【日本】もも 40 kcal 88.7 g 0.6 g 0.1 g 10.2 g 1.3 g
【南国】グァバ 赤肉種 38 kcal 88.9 g 0.6 g 0.1 g 9.9 g 5.1 g
【日本】すいか 赤肉種 37 kcal 89.6 g 0.6 g 0.1 g 9.5 g 0.3 g
【南国】アセロラ 酸味種 36 kcal 89.9 g 0.7 g 0.1 g 9 g 1.9 g
【日本】いちご 34 kcal 90 g 0.9 g 0.1 g 8.5 g 1.4 g

16種類の中でもっともカロリーが高いのは南国フルーツのアボカド(187 kcal)です。そのあとに同じく南国フルーツからバナナ、マンゴーライチが続いています。

こうしてみると、カロリーの面ではトロピカルフルーツの方が普段私たちが食べ慣れている果物よりも栄養が高めと言えそうです。

ただ、同じ南国原産のフルーツであっても、植物学的にはそれぞれ別の果物なので、トロピカルフルーツが必ずしもカロリー高めというわけではありません。事実、アセロラはカロリーに関してはいちごと同じくらい低めです。

南国フルーツのミネラル類

続いて、鉄分・亜鉛などのミネラル類の含有量を比較していきます。

南国フルーツのミネラル類比較
果物名 ナトリウム カリウム カルシウム マグネシウム リン 亜鉛 マンガン
【南国】アセロラ 酸味種 7 mg 130 mg 11 mg 10 mg 18 mg 0.5 mg 0.5 mg 0.31 mg – mg
【南国】アボカド 7 mg 720 mg 9 mg 33 mg 55 mg 0.7 mg 0.7 mg 0.24 mg 0.18 mg
【南国】キウイフルーツ 緑肉種 2 mg 290 mg 33 mg 13 mg 32 mg 0.3 mg 0.1 mg 0.11 mg 0.11 mg
【南国】グァバ 赤肉種 3 mg 240 mg 8 mg 8 mg 16 mg 0.1 mg 0.1 mg 0.06 mg 0.09 mg
【南国】パインアップル 0 mg 150 mg 10 mg 14 mg 9 mg 0.2 mg 0.1 mg 0.11 mg 0.76 mg
【南国】バナナ 0 mg 360 mg 6 mg 32 mg 27 mg 0.3 mg 0.2 mg 0.09 mg 0.26 mg
【南国】マンゴー 1 mg 170 mg 15 mg 12 mg 12 mg 0.2 mg 0.1 mg 0.08 mg 0.1 mg
【南国】ライチ 0 mg 170 mg 2 mg 13 mg 22 mg 0.2 mg 0.2 mg 0.14 mg 0.17 mg
【日本】いちご 0 mg 170 mg 17 mg 13 mg 31 mg 0.3 mg 0.2 mg 0.05 mg 0.2 mg
【日本】かき 甘柿 1 mg 170 mg 9 mg 6 mg 14 mg 0.2 mg 0.1 mg 0.03 mg 0.5 mg
【日本】さくらんぼ 国産 1 mg 210 mg 13 mg 6 mg 17 mg 0.3 mg 0.1 mg 0.05 mg – mg
【日本】すいか 赤肉種 1 mg 120 mg 4 mg 11 mg 8 mg 0.2 mg 0.1 mg 0.03 mg 0.03 mg
【日本】なし 日本ナシ 0 mg 140 mg 2 mg 5 mg 11 mg 0 mg 0.1 mg 0.06 mg 0.04 mg
【日本】みかん 1 mg 150 mg 21 mg 11 mg 15 mg 0.2 mg 0.1 mg 0.03 mg 0.07 mg
【日本】もも 1 mg 180 mg 4 mg 7 mg 18 mg 0.1 mg 0.1 mg 0.05 mg 0.04 mg
【日本】りんご 皮むき 0 mg 120 mg 3 mg 3 mg 12 mg 0.1 mg 0 mg 0.05 mg 0.02 mg

ミネラル類でも目立った数値を見せているのは南国フルーツが多くなっています。

この表では9種類のミネラル類について比較していますが、9種類すべてにおいて南国フルーツが含有量トップとなっています。

南国フルーツのビタミン類

最後に見るのはビタミン類です。ビタミンは南国フルーツに多く含まれているイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。

南国フルーツのビタミン類比較
果物名 β-カロテン ビタミンB1 ビタミンB2 ナイアシン ビタミンB6 葉酸 パントテン酸 ビオチン ビタミンC
【南国】アセロラ 酸味種 370 μg 0.03 mg 0.04 mg 0.3 mg 0 mg 45 μg 0.25 mg – μg 1700 mg
【南国】アボカド 53 μg 0.1 mg 0.21 mg 2 mg 0.32 mg 84 μg 1.65 mg 5.3 μg 15 mg
【南国】キウイフルーツ 緑肉種 66 μg 0.01 mg 0.02 mg 0.3 mg 0.12 mg 36 μg 0.29 mg 1.4 μg 69 mg
【南国】グァバ 赤肉種 580 μg 0.03 mg 0.04 mg 0.8 mg 0.06 mg 41 μg 0.32 mg – μg 220 mg
【南国】パインアップル 30 μg 0.08 mg 0.02 mg 0.2 mg 0.08 mg 11 μg 0.28 mg 0.2 μg 27 mg
【南国】バナナ 42 μg 0.05 mg 0.04 mg 0.7 mg 0.38 mg 26 μg 0.44 mg 1.4 μg 16 mg
【南国】マンゴー 610 μg 0.04 mg 0.06 mg 0.7 mg 0.13 mg 84 μg 0.22 mg 0.8 μg 20 mg
【南国】ライチ 0 μg 0.02 mg 0.06 mg 1 mg 0.09 mg 100 μg 0 mg – μg 36 mg
【日本】いちご 17 μg 0.03 mg 0.02 mg 0.4 mg 0.04 mg 90 μg 0.33 mg 0.8 μg 62 mg
【日本】かき 甘柿 160 μg 0.03 mg 0.02 mg 0.3 mg 0.06 mg 18 μg 0.28 mg 2 μg 70 mg
【日本】さくらんぼ 国産 81 μg 0.03 mg 0.03 mg 0.2 mg 0.02 mg 38 μg 0.24 mg 0.7 μg 10 mg
【日本】すいか 赤肉種 830 μg 0.03 mg 0.02 mg 0.2 mg 0.07 mg 3 μg 0.22 mg 0.9 μg 10 mg
【日本】なし 日本ナシ 0 μg 0.02 mg 0 mg 0.2 mg 0.02 mg 6 μg 0.14 mg 0.5 μg 3 mg
【日本】みかん 180 μg 0.1 mg 0.03 mg 0.3 mg 0.06 mg 22 μg 0.23 mg 0.5 μg 32 mg
【日本】もも 0 μg 0.01 mg 0.01 mg 0.6 mg 0.02 mg 5 μg 0.13 mg 0.3 μg 8 mg
【日本】りんご 皮むき 12 μg 0.02 mg 0 mg 0.1 mg 0.04 mg 2 μg 0.03 mg 0.5 μg 4 mg

ミネラル類は圧倒的にトロピカルフルーツに軍配が上がっていましたが、ビタミン類では意外なことに日本でよく食べられるフルーツもいくつかトップの値を見せています。

βカロチンについてはすいかが16種類の中でもトップですね。

もちろん南国果実のアボカドが圧倒的な栄養価ということに変わりはないのですが、みかんのビタミンB1含有量が同率1位だったり、いちごの葉酸含有量が第2位の90μgだったりと日本フルーツの健闘ぶりも伺えます。

とはいってもアセロラのビタミンC含有量が1700mgと圧倒的な数値を残しているように、南国フルーツの方が全体的に栄養素が多いというのは事実です。

南国フルーツの栄養価が高いのは事実

今回は南国フルーツの栄養価の高さを数値で確認してきました。結果としてはやはり私たちのイメージ通り、トロピカルフルーツの栄養価は全体的に高い結果となりましたね。

とはいっても、全ての南国フルーツが栄養価満点で、それ以外のフルーツが微妙かといったら必ずしもそうではありません。果物には栄養摂取以外にも味の好みがあるので、個人の好みに応じて選ぶことをおすすめします。

*データの参照元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

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