日本では夏、川へキャンプしに行くときに食べることの多い川魚。ニジマス、ヤマメ、アユなど色々な種類があります。人によっては小・中学生の頃、アユの手づかみ体験をしたことのある人もいるかもしれません。
今回注目したのはそうした川魚。特に渓流にいるような魚を中心に、よく名前が知られているアユ・ヤマメ・イワナ・ニジマスのカロリーや栄養素を比較してみます。
素人目で見ると似たような魚であっても、成分には大きな違いがあることも分かったので、下記に用意したいくつかのデータを参考にしながらご覧ください。
なお、今回比較したデータは生の魚100グラムあたりの栄養価となります。
川魚4種類の中でカロリーが高いのは鮎
魚の名前 | エネルギー(kcal) |
---|---|
鮎(あゆ) | 152 kcal |
ニジマス | 127 kcal |
ヤマメ | 119 kcal |
イワナ | 114 kcal |
川魚の中で最もカロリーが高いのはあゆ。100グラム当たり152キロカロリーです。
続いてカロリーが高いのはニジマスで、こちらは127キロカロリー。ヤマメとイワナはどちらも比較的カロリーが低くヤマメは119キロカロリー、イワナは114キロカロリーです。
最もカロリーの高いあゆでも100グラムあたりのカロリーは152キロカロリーなので、その他の全ての食材等を比較すると、それほど高いカロリーではありません。
むしろ食材の中では低カロリーな方で、それでいて、普段不足しがちと言われるタンパク質も多く含んでいます。
そのタンパク質含有量やその他の3大栄養素のをどれだけ含んでいるかを次の表で確認してみましょう。
川魚はたんぱく質豊富な食べ物
魚の名前 | エネルギー(kcal) | 水 分 | たんぱく質 | 脂 質 | 炭水化物 |
---|---|---|---|---|---|
鮎(あゆ) | 152 kcal | 72 % | 17.8 g | 7.9 g | 0.6 g |
ニジマス | 127 kcal | 74.5 % | 19.7 g | 4.6 g | 0.1 g |
ヤマメ | 119 kcal | 75.6 % | 18.4 g | 4.3 g | 0.3 g |
イワナ | 114 kcal | 76.1 % | 19 g | 3.6 g | 0.1 g |
4つの魚は共通してタンパク質が豊富です。1番少ないあゆでも17.8グラム、1番多いニジマスだと19.7グラムもタンパク質が含まれています。
一般的にタンパク質は自分の体重× 1グラムを平均的に毎日取るようにと推奨されているので体重60キロの人の場合はこうした川魚を100グラム分食べれば1日の3分の1のタンパク質を摂取できると言うことになります。
脂質に関してはあゆが7.9グラムとやや高めです。他3つの魚の脂質を見てみるとどれも3グラムから4グラムほどで脂質の量はかなり少ない方。とはいってもあゆの脂質が抜きん出て高いわけではないので、一度に過剰な量を摂取しない限り特に問題はありません。
炭水化物についてはその他の多くの魚と同じ様に川魚4種類にもほとんど含まれていません。総合してみると川魚4種はどれもタンパク質リッチな食べ物であってその中でもあゆには脂質がやや多く含まれているということになります。
アユに含まれるカルシウムの豊富さ
続いて川魚4種類に含まれるミネラル分やビタミン類についてその含有量を比較していきます。まず見ていくのはミネラル類。
魚の名前 | ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 | マンガン |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
鮎(あゆ) | 55 mg | 360 mg | 250 mg | 24 mg | 320 mg | 0.8 mg | 0.9 mg | 0.05 mg | 微量 |
ニジマス | 50 mg | 370 mg | 24 mg | 28 mg | 240 mg | 0.2 mg | 0.6 mg | 0.04 mg | 0.01 mg |
ヤマメ | 50 mg | 420 mg | 85 mg | 28 mg | 280 mg | 0.5 mg | 0.8 mg | 0.04 mg | 0.01 mg |
イワナ | 49 mg | 380 mg | 39 mg | 29 mg | 260 mg | 0.3 mg | 0.8 mg | 0.04 mg | 0.02 mg |
この表を見ると分かるようにカルシウムについては、あゆが他の魚の含有量に比べて最大10倍近くの差がつくほど多く含んでいます。
同じ川魚なのにこれだけ栄養価が違うのは驚きですね。反対にニジマスは100グラム当たり24ミリグラムしかカルシウムが含まれていないので魚=カルシウムが豊富といった等式はここでは成立しません。
他の栄養素に関してもミネラル類はあゆの含有量が比較的豊富と言えそうです。例えば鉄分や亜鉛、銅などはすべてあゆの含有量が4種類の魚の中でトップとなっています。
ビタミン類の含有量を比較
魚の名前 | ビタミンD | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | ビタミンC |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
鮎(あゆ) | 8 μg | 0.15 mg | 0.14 mg | 3.5 mg | 0.28 mg | 2.6 μg | 28 μg | 2 mg |
ニジマス | 12 μg | 0.21 mg | 0.1 mg | 4 mg | 0.36 mg | 6 μg | 13 μg | 2 mg |
ヤマメ | 8 μg | 0.15 mg | 0.16 mg | 3.8 mg | 0.22 mg | 6.6 μg | 13 μg | 3 mg |
イワナ | 5 μg | 0.09 mg | 0.12 mg | 3.4 mg | 0.21 mg | 4.2 μg | 5 μg | 1 mg |
ビタミン類でもミネラル類と同じように4種類の魚の栄養素を比較していきます。いくつかのビタミンの数値を俯瞰したところミネラル類の表を見たときと比べて顕著な値こそないものの、表を右のほうにスクロールしていくと、例えば葉酸の値はあゆの含有量が1番多いことがわかります。
ただし、いずれのビタミン類に関しても魚1匹を食べただけでは十分な量は摂取しづらいため、川魚以外の他の食材とも合わせて栄養をバランスよく摂取する必要があります。
例えばこの表を見てわかるとおり魚類にはビタミンCがほとんど含まれていません。よく知られているようにビタミンCは野菜や果物などのフレッシュな食材に多く含まれているためタンパク質やカルシウムが豊富な川魚と、それを補う野菜や果物を組み合わせて食べると栄養バランス的には良い食事といえます。
まとめ:栄養価が高いのはアユ
今回は私たち日本人になじみの深い4種類の川魚についてそのカロリーや栄養日を見比べてきました。
4種類の栄養はそこまで大きな違いこそないものの、脂質を取りたくない人や、反対にカルシウムなどの栄養を取りたい人にとってはどの魚を選ぶかによって栄養摂取の効率性がかなり変わるので、あらかじめどの魚にこの栄養素が豊富だといったような情報収集はしておいた方が良いでしょう。
*データの参照元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
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