今回のテーマはお米です。お米といっても白米もあれば玄米もあり、食べ方次第ではお粥だって重湯だって様々。また、白飯に比べて玄米の方が健康に良いと言われますが、本当なのか。数値を実際に見て検証していきます。
比較するご飯の種類はこちらです→もち米、うるち米、七分づき米ご飯、半つき米ご飯、玄米ご飯、全かゆ、五分かゆ、重湯。
目次
お米食品のカロリーと三大栄養素
食品名 | カロリー | 水分量 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
精白米ご飯(もち米) | 202 kcal | 52.1 g | 3.5 g | 0.5 g | 43.9 g |
精白米ご飯(うるち米) | 168 kcal | 60 g | 2.5 g | 0.3 g | 37.1 g |
七分づき米ご飯 | 168 kcal | 60 g | 2.6 g | 0.5 g | 36.7 g |
半つき米ご飯 | 167 kcal | 60 g | 2.7 g | 0.6 g | 36.4 g |
玄米ご飯 | 165 kcal | 60 g | 2.8 g | 1 g | 35.6 g |
全かゆ | 71 kcal | 83 g | 1.1 g | 0.1 g | 15.7 g |
五分かゆ | 36 kcal | 91.5 g | 0.5 g | 0.1 g | 7.9 g |
重湯 | 21 kcal | 95 g | 0.3 g | 0 g | 4.7 g |
100gあたりで比較すると、一番カロリーが高いのはもち米のご飯です。うるち米と比べて水分量が少なく、その代わりに炭水化物を中心とした三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)が増えています。
ちなみに、もち米のモチモチ感は普通のお米(うるち米)と比べて、非水溶性のでんぷん質アミロペクチンを多く含んでいることにあるそう(1)。
米は炭水化物であり、炭水化物の主成分はデンプン質です。デンプン質はアミロースとアミロペクチンで成り立っています。うるち米は約20%のアミロースと約80%のアミロペクチンで構成されていますが、もち米は100%のアミロペクチンで構成されています。
三大栄養素については精白米も半つき米も大差ない
精米方法として、どれだけ周りのぬか層や胚芽を残すかの違いがある七分づき米、半つき米。
それぞれ下記のように定義されています。
- 玄米:もみ殻を取り除いただけのお米
- 三分づき米:玄米からぬか層と胚芽を3割カット
- 半づき米:玄米からぬか層と胚芽を5割カット
- 七分づき米:玄米からぬか層と胚芽を7割カット
- 精白米:玄米からぬか層と胚芽を10割カット
何割まわりのぬか層や胚芽をカットしたかによって5〜6種類に細分化されるのですが、三大栄養素についてはほとんど変化がありません。実際に表で比べてみます。
食品名 | カロリー | 水分量 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
玄米ご飯 | 165 kcal | 60 g | 2.8 g | 1 g | 35.6 g |
半つき米ご飯 | 167 kcal | 60 g | 2.7 g | 0.6 g | 36.4 g |
七分つき米ご飯 | 168 kcal | 60 g | 2.6 g | 0.5 g | 36.7 g |
精白米ご飯(うるち米) | 168 kcal | 60 g | 2.5 g | 0.3 g | 37.1 g |
ご覧の通り、一番上が玄米、下が精白米です。見た目では色も違うし食感も違うので、玄米と精白米では栄養もかなり違うのかなと思いがちですが、三大栄養素についてはほとんど違いがありません。
半つき米と七分づき米にいたっては、100g食べてわずか1キロカロリーしか違いがないほどです。
お粥系は弱った体への刺激こそ少ないものの栄養はわずか
カロリーが高めのご飯系と比べて、お粥系はどれも重量当たりの水分量が多いので栄養価もカロリーも低めです。五分かゆや重湯に関しては水分量が90%越えでほとんど水のようなもの。
90%越えの水分量というと、野菜類や果物類と同じ水準(例:にんじんの水分量は89%、梨の水分量は88%)です。
お粥系は体調を崩している時やお腹の調子が悪いときに消化不良を起こさずにお腹を刺激しないように食べることが多いですが、栄養摂取に関してはあまり期待できないので、お粥だけ食べていればオッケーではなく、体調に合わせて栄養価の高い食べ物も摂取していく必要があります。
ご飯系食材のミクロ栄養素
たんぱく質や炭水化物など三大栄養素(マクロ栄養素)について大きな違いがないことが分かったご飯類。
では、ビタミン・ミネラルのようなミクロ栄養素では違いがあるのでしょうか。答えから先に言うと、違いはしっかりあります。下の表を見てみましょう。
一部ミネラル類を表で比較:玄米は精白米の7倍
食品名 | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 |
玄米ご飯 | 95mg | 7mg | 49mg | 130mg | 0.6mg |
半つき米ご飯 | 43mg | 4mg | 22mg | 53mg | 0.2mg |
七分つき米ご飯 | 35mg | 4mg | 13mg | 44mg | 0.2mg |
精白米ご飯(うるち米) | 29mg | 3mg | 7mg | 34mg | 0.1mg |
上の表は玄米から精白米までの中に含まれる一部のミネラル分を抜粋したものです。
玄米ご飯は精白米ご飯(普通の白飯)と比べてカリウムは3倍、マグネシウムは7倍、鉄分は6倍といった具合に、精白米よりもミネラル類がかなり豊富なことが分かります。
続いて、ビタミン類を見てみましょう。
一部ビタミン類を表で比較
食品名 | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | 葉酸 |
玄米ご飯 | 0.16 | 0.02 | 2.9 | 0.21 | 10 |
半つき米ご飯 | 0.08 | 0.01 | 1.6 | 0.07 | 6 |
七分つき米ご飯 | 0.06 | 0.01 | 0.8 | 0.03 | 5 |
精白米ご飯(うるち米) | 0.02 | 0.01 | 0.2 | 0.02 | 3 |
ミネラル類で見たのと同じように、ここでも玄米ご飯の方が精白米に比べて栄養価が高いことがよく分かります。
ビタミンB6は10倍、ナイアシンにいたっては精白米の15倍も数値が高いですね。
ただ、このデータだけで「玄米は精白米よりも栄養価が高いので白米よりも玄米を食べましょう!」とは言えないのが事実なんです。その理由を詳しく解説します。
玄米の栄養価が高いの嘘:サプリの90分の1
精白米と比べれば確かに玄米は栄養価が高いのは事実です。
ただ、これは白米と比べると高いだけであって玄米自体の栄養価が優秀かというとそれほどでもありません。このページを作るために他の解説サイトを見て回ったのですが、どこも白米と比べて多いといった相対値を話しているだけで、絶対値については触れていません。
例えば、玄米100gに含まれるビタミンB1、これは確かに白米の8倍の量が含まれています。ただし、0.16mgというのは本当に微量。
「栄養は玄米からしか摂取してはいけない」というような縛りがなければ他の食材から取った方が楽です。極端な話をすると、ネイチャーメイドのサプリメントなら1粒で14mg(約90倍)も取れてしまうのです(2)。
玄米が完全栄養食というのは昔の話で、食の選択肢が広がった今では、無理して玄米から摂る必要はないと思います。
ご飯系食材の栄養比較まとめ
今回は玄米や精白米、お粥など米類を見てきました。たしかに玄米をはじめとするぬか層や胚芽のついたお米は栄養的には世間で言われているほど高くはありません。
ただ、玄米の食感が好きだったり、味や風味が気に入っているのであればそのまま玄米を続けていっても何ら問題ありません。あとは個人の好みとお財布次第です。
参考リンク
1. うるち米ともち米の違いとは? - 金崎さんちのお米 2. ビタミンB1 | ネイチャーメイド 公式サイト*データの参照元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
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