海の幸として食べることの多いイカとタコ。どちらも同じような軟体生物でどれぐらい栄養が含まれているのか気になっている人もいるのではないでしょうか。
今回はイカとタコ8種類のカロリー・栄養素をそれぞれ比較したり、他の食材(海老・蟹など)と栄養を比べながらイカとタコにどれぐらい栄養が含まれているのかを調査していきます。
なお、今回比較するイカとタコはどちらも生の食材100グラムのデータを参照しています。
イカとタコは低カロリー食材
食品名 | エネルギー(kcal) |
---|---|
🦑赤イカ | 89 kcal |
🦑ヤリイカ | 85 kcal |
🦑ケンサキイカ | 84 kcal |
🦑ホタルイカ | 84 kcal |
🦑スルメイカ | 83 kcal |
🐙マダコ | 76 kcal |
🐙イイダコ | 70 kcal |
🦑コウイカ | 66 kcal |
イカ・タコの中で最もカロリーが高いのは赤イカ(89kcal)、最も低カロリーなのはコウイカ(66kcal)。
- タコよりもイカの方が高カロリー
- イカもタコもカロリーはかなり低い
全8種類のうちタコ類(マダコ・イイダコ)はイカ類よりも比較的低カロリーと言えるでしょう。とはいえ、イカもタコもどちらとも食材の中ではかなりの低カロリーです。
試しに他の魚介類と比べてみましょう。下記の表はタコ・カニ類と、エビ類、蟹類の食材のカロリーを比較したものです。
食品名 | エネルギー(kcal) |
---|---|
🦐車エビ | 97 kcal |
🦐伊勢海老 | 92 kcal |
赤イカ | 89 kcal |
🦐甘エビ | 87 kcal |
ヤリイカ | 85 kcal |
ケンサキイカ | 84 kcal |
ホタルイカ | 84 kcal |
スルメイカ | 83 kcal |
マダコ | 76 kcal |
イイダコ | 70 kcal |
コウイカ | 66 kcal |
🦀ズワイガニ | 63 kcal |
🦀タラバガニ | 59 kcal |
エビ・カニ・タコ・イカの中だと、上から順に、
- 海老>イカ>タコ>蟹
といった具合にカロリーに違いがあります。なお、いずれの魚介類もそれほどカロリーが高くなく、サーモン(237kcal)や秋刀魚(335kcal)と比べるとかなりカロリーは低めです。
イカとタコの三大栄養素
食品名 | エネルギー(kcal) | 水 分 | たんぱく質 | 脂 質 | 炭水化物 |
---|---|---|---|---|---|
赤イカ | 89 kcal | 79.3 % | 17.9 g | 1.4 g | 微量 |
ヤリイカ | 85 kcal | 79.7 % | 17.6 g | 1 g | 0.4 g |
ケンサキイカ | 84 kcal | 80 % | 17.5 g | 1 g | 0.1 g |
ホタルイカ | 84 kcal | 83 % | 11.8 g | 3.5 g | 0.2 g |
スルメイカ | 83 kcal | 80.2 % | 17.9 g | 0.8 g | 0.1 g |
マダコ | 76 kcal | 81.1 % | 16.4 g | 0.7 g | 0.1 g |
イイダコ | 70 kcal | 83.2 % | 14.6 g | 0.8 g | 0.1 g |
コウイカ | 66 kcal | 83.4 % | 14.9 g | 0.3 g | 0.1 g |
イカとタコのカロリーが低い理由は、脂質・炭水化物の少なさにあります。100グラムあたりのマクロ栄養素を見るとこれは明らかで、たんぱく質は15g〜18g前後と普通の食材よりは多いものの、脂質・炭水化物はどちらもかなり低めです。
唯一、ホタルイカだけ脂質が3.5グラムと他と比べると多めですが、それでも全食材の中で比較すると低脂質食材と言えます。
ホタルイカを除いた他のイカ類・タコ類については、種類の違いによる若干のたんぱく質量および水分率の違いこそあるものの、「イカならこの食材がナンバーワン」と明言できるほど際立ったマクロ栄養素を有した食材はありません。
イカ・タコを買うときは栄養価に基づいてどれを買おうか判断する必要はほとんどなく、味や食感の好みで選んでもらえればと思います。
ミクロ栄養素の違いを比較
三大栄養素ではほとんど違いのなかったタコ・イカ類ですが、ミネラル類やビタミン類などミクロ栄養素にはいくつか面白い違いが見られました。
食品名 | ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 | マンガン |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
赤イカ | 200 mg | 330 mg | 12 mg | 46 mg | 280 mg | 0.1 mg | 1.2 mg | 0.21 mg | 0.02 mg |
ヤリイカ | 170 mg | 300 mg | 10 mg | 42 mg | 280 mg | 0.1 mg | 1.2 mg | 0.25 mg | 0.02 mg |
ケンサキイカ | 210 mg | 330 mg | 12 mg | 46 mg | 260 mg | 0.1 mg | 1.3 mg | 0.16 mg | 0.02 mg |
ホタルイカ | 270 mg | 290 mg | 14 mg | 39 mg | 170 mg | 0.8 mg | 1.3 mg | 3.42 mg | 0.05 mg |
スルメイカ | 210 mg | 300 mg | 11 mg | 46 mg | 250 mg | 0.1 mg | 1.5 mg | 0.29 mg | 微量 |
コウイカ | 280 mg | 220 mg | 17 mg | 48 mg | 170 mg | 0.1 mg | 1.5 mg | 0.45 mg | 0.02 mg |
マダコ | 280 mg | 290 mg | 16 mg | 55 mg | 160 mg | 0.6 mg | 1.6 mg | 0.3 mg | 0.03 mg |
イイダコ | 250 mg | 200 mg | 20 mg | 43 mg | 190 mg | 2.2 mg | 3.1 mg | 2.96 mg | 0.06 mg |
特筆すべきはホタルイカとイイダコ。どちらも鉄分、亜鉛、銅が豊富です。
この点については、ホタルイカとイイダコのサイズに理由があります。他のイカ・タコ類がある程度の大きさがあって栄養成分を調査するときに内臓などを除去するのに対して、ホタルイカとイイダコは小さい食材なので内臓などを含んだ栄養素となっています。
一般的に内臓には多くのミネラル類が含まれているので、亜鉛・鉄分などの項目でホタルイカとイイダコのミネラル類が多いのもなるほどなといったところです。
イカ・タコ類のビタミンを比較
食品名 | レチノール | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
赤イカ | 4 μg | 0.01 mg | 0.02 mg | 2.1 mg | 0.1 mg | 2.3 μg | 2 μg | 0.31 mg | 4 μg | 1 mg |
ヤリイカ | 8 μg | 0.04 mg | 0.03 mg | 3.5 mg | 0.1 mg | 1.1 μg | 5 μg | 0.27 mg | – μg | 2 mg |
ケンサキイカ | 7 μg | 0.01 mg | 0.02 mg | 2.5 mg | 0.11 mg | 2.5 μg | 4 μg | 0.28 mg | – μg | 2 mg |
ホタルイカ | 1500 μg | 0.19 mg | 0.27 mg | 2.6 mg | 0.15 mg | 14 μg | 34 μg | 1.09 mg | – μg | 5 mg |
スルメイカ | 13 μg | 0.07 mg | 0.05 mg | 4 mg | 0.21 mg | 4.9 μg | 5 μg | 0.34 mg | 4.9 μg | 1 mg |
コウイカ | 5 μg | 0.03 mg | 0.05 mg | 1.3 mg | 0.06 mg | 1.4 μg | 3 μg | 0.52 mg | 1.6 μg | 1 mg |
マダコ | 5 μg | 0.03 mg | 0.09 mg | 2.2 mg | 0.07 mg | 1.3 μg | 4 μg | 0.24 mg | – μg | 微量 |
イイダコ | 35 μg | 0.01 mg | 0.08 mg | 3.2 mg | 0.11 mg | 2 μg | 37 μg | 0.7 mg | – μg | 1 mg |
イカ・タコ類のビタミンはホタルイカの栄養素に注目です。レチノール含有量をはじめとして、ほとんど全ての項目で他のイカ・タコ類に優っています。これはイイダコとホタルイカに多くのミネラル類が含まれていたのと同じ理由です。
その他のイカ・タコ類についてはそれほど特別な量の栄養素が含まれているわけではないので、イカ・タコからだけ特別に期待されるようなビタミン類は見られません。
まとめ:イカ・タコ類はたんぱく質源としては優秀
今回はイカとタコの栄養素およびカロリーを比較してきました。結論としては、イカとタコの両方ともたんぱく質源としては優れており、乾燥などをして水分を飛ばせばかなり優秀なたんぱく質源となり得ることが数値の上からも判明しました。
加工の仕方によっては消化不良しやすい食材でもあるため、一度に多くの量を摂取するような食べ過ぎにはご注意ください。
*データの参照元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
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