今日の朝日新聞朝刊にこんな記事が載っていました。『キャベツやブロッコリーがお米がわり 糖質オフ食品人気』。糖質量の多いお米の代わりに野菜をお米のような形にカットした代替商品が流行っているそう。
たしかに、こうした置き換え食材をスーパーで目にすることが最近増えてきています。
- カロリー50%オフ!
- 糖質量10分の1
- ご飯の代わりにどうぞ
カロリーが多いよりは少ない方がいい。糖質は摂りすぎるとデブになる。
こんな風に「カロリー」や「糖質」について何となく「悪そうなもの」と思っている人は多いはずです。テレビや雑誌でカロリーと糖質を悪者扱いしているからそう思うのも当然でしょう。
でも、カロリーや糖質が本当に悪者なのでしょうか。キャベツライスでご飯を置き換えていればダイエットはできるのでしょうか。
世の中には何となく雰囲気で「糖質」と「カロリー」が悪いものだと思い込んでいる人が多くいます。でも、糖質を気にして毎食の主食を野菜で置き換えていたらむしろ体は栄養不足になってしまいます。
今回はキャベツライスをはじめとするご飯の置き換え野菜を正しくダイエットに活かすにはどうすればいいのか。よくある間違った置き換え食の注意点と正しい活用法を紹介します。
目次
ご飯がわりの野菜は何キロカロリー?
ご飯の代わりとして販売されている野菜パックが1食分どれぐらいの栄養素を含んでいるのでしょうか。
いくつかの商品をピックアップしてカロリーと三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)を比較してみました。
例えば、キャベツライス1袋130gあたりのカロリーと栄養価はこちら。
エネルギー | 26kcal |
---|---|
たんぱく質 | 1.4g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 6.8g |
糖質 | 3.0g |
食物繊維 | 3.8g |
食塩相当量 | 0.03g |
1袋食べても26kcalとは驚きの低さ。試しに同じ量のご飯(白米)と比べてみると、両者の差は歴然となります。
栄養価 | キャベツライス | 白飯 |
---|---|---|
エネルギー | 26kcal | 218.4kcal |
たんぱく質 | 1.4g | 3.3g |
脂質 | 0.2g | 0.4g |
炭水化物 | 6.8g | 48.2g |
糖質 | 3.0g | 47.8g |
食物繊維 | 3.8g | 0.4g |
カロリーでは白飯の8分の1、糖質量も15分の1以下。糖質・カロリー制限をしている人の間で人気が出るのも当然です。
1日3食のご飯をキャベツライスに置き換えたら3食分の合計カロリーは、
- キャベツライス:78kcal
- 白飯:655kcal
500キロカロリー近くカロリーを減らせます。主食はどうしてもカロリーが高くなるので減らせるなら減らしたいと考えている人にとっては素晴らしい商品と言えるでしょう。
でも、糖質やカロリーは低ければ低いほどいいのでしょうか。
カロリー・糖質の減らしすぎのデメリット
食事および、栄養摂取で一番大事なのは適量摂取。栄養を摂りすぎたら肥満体型に近づき、栄養を摂らなすぎたら栄養不足の痩せ型になります。
カロリー制限食や糖質制限ダイエットはほどほどなら問題ありません。もしくは糖質オフで減りすぎた分のカロリーをたんぱく質や脂質で補えるなら大丈夫です。
でも、自身の適切な摂取カロリー量や、適切なたんぱく質・脂質量を知らない人。そういう人が自己流の糖質制限ダイエットをやっているのであれば、野菜での置き換えにはかなり注意が必要です。
野菜はカロリーが低すぎるので主食には向かない
「とりあえずご飯を野菜や果物で置き換えておけば痩せられる」
こんな風に雰囲気で糖質制限ダイエットをしているなら痩せられないどころか、むしろ筋肉量が減少し、脂肪だけが増えていってしまう結果を招く可能性があります。
というのも、野菜・果物は極端にカロリー・糖質が少ない食材。
本来なら1日合計で2000kcal摂取しなくてはいけない身体に対して、ご飯の代わりに1食100kcalにも満たないような低カロリー食材で置き換えてしまっては、ダイエット以前に栄養不足になるのも当然。
ご飯やパンが主食として食べられるのはカロリー摂取というちゃんとした訳があるのです。それを本来、ビタミン・ミネラルの摂取がメインとされる野菜や果物で置き換えてしまっては、最低限のカロリーすら摂れません。
では、ご飯を野菜で置き換える商品はダメなのか。そうではありません。大事なのは中庸。1日3食すべてをお米から野菜に変えるのではなく、部分的に変えればいいのです。
提案:お米の代わりに野菜+高タンパク食材
1日3食をすべてお米から野菜主食に変えてはいけません。自身で栄養管理をしていてカロリー計算までしているなら別ですが、雰囲気勢は真似してはいけません。
提案したいのは、1日3食のうちの1食。特に摂取カロリーが多くなりがちな夜ご飯を白飯からキャベツライスに変えること。
でも、これだけでは足りません。お米を野菜に変えた分不足するエネルギーを補うために、たんぱく質を摂取しましょう。栄養素について知らない人向けに補足しておくと、
- 主食(米やパン):炭水化物摂取
- 主菜(肉や魚):たんぱく質摂取
- 副菜(野菜や果物):ビタミン摂取
といった具合に主食には主食、主菜には主菜の役割があります。
本来主食で必要とする炭水化物を野菜に置き換えることで減らすなら、その分のカロリーを補うために主菜の量を増やす。もともとタンパク質は意識しないと取りにくい栄養素なので少し多めに食べるぐらいでちょうどです。
簡単なものなら、鶏肉(特に胸肉やささみ)、マグロやカツオなどの刺身などスーパーでも定番の商品で問題ありません。
ご飯を野菜で置き換えるなら、そこで摂れなかったカロリーを他で補わないとダイエットでも何でもないただの栄養不足で終わってしまうことを理解しておきましょう。
まとめ:結局は使い方次第
今回はキャベツライスをはじめとするご飯の置き換え野菜について見てきました。
糖質制限自体はちゃんとしたやり方で取り組めばダイエットの手法として十分機能するものですが、誤った自己流の方法で行うのは危険です。それはキャベツライスでも同様で、知識のない状態でいきなり3食全てを置き換えるような極端な置き換えは避けるようにしましょう。
そしてほとんどの人はタンパク質が足りていません。置き換え野菜で減らした分のカロリーはタンパク質で補うことを忘れずに食生活改善に取り組んでみてください。
*データの参照元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
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