フレッシュで手軽に食べられるイメージのあるベリー類の果実。イチゴ、ブルーベリー、ラズベリーなど果物の中でも人気の高いフルーツが含まれているのがベリー類。
しかし、正確にいうとベリー類という植物学的なカテゴリーはありません。日本ではイチゴ(ストロベリー)など名前にベリーが付いている果物をベリー類として分類しているだけで、実際はそれぞれバラ科、ツツジ科など違うカテゴリーに属しています。
とは言ってもデザートやトッピングとして一緒に食べられることの多いこれらベリー類。どのベリーにどれだけ栄養が含まれているか気になる人も多いと思うので、今回は私たちがベリー類として名前を聞くことの多い、イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、グーズベリー、ぐみ(シルバーベリー)の5つについて調査しました。
目次
ベリー類のカロリーを比較
最初にベリー類100gあたりに含まれるカロリー・エネルギーを比較します。
果物名 | エネルギー(kcal) |
---|---|
いちご(ストロベリー) | 34 kcal |
ラズベリー | 41 kcal |
ブルーベリー | 49 kcal |
グーズベリー | 52 kcal |
ぐみ(シルバーベリー) | 68 kcal |
ベリー系の果物の中で一番カロリーが低いのはいちご(ストロベリー)です。100gあたりエネルギーは34kcalとなっています。
市販されているいちごのパックは1パックあたり250g〜350gほどなので、1パック丸ごと食べてようやく100kcalほどです。かなり低カロリーと言えますね。
その他のベリー類はラズベリーが41kcal、ブルーベリーが49kcal、グーズベリーが52kcal、ぐみ(シルバーベリー)が68kcalとなっています。
ぐみは100gあたり68kcalと34kcalのイチゴとちょうど倍になっています。とは言ってもぐみが高カロリーな果物かというとそうではありません。
ベリー類のような果物類は水分が多く含まれていて100gあたりのカロリーは全部の食べ物の中でもかなり低い方です。上記5つの中では比較的高いものの、絶対値で見るときに高カロリーではないことは理解しておきましょう。
ベリー類の三大栄養素を比較
カロリーとは三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)のグラム数に数字をかけて算出するエネルギー量です。
つまり三大栄養素が多ければ多いほどカロリーが高くなり、少ないければ低カロリー食材ということになります。
具体的にベリー類の三大栄養素を比較していきましょう。
果物名 | エネルギー(kcal) | 水分率 | たんぱく質 | 脂 質 | 炭水化物 | 食物繊維総量 |
---|---|---|---|---|---|---|
いちご | 34 kcal | 90 % | 0.9 g | 0.1 g | 8.5 g | 1.4 g |
ラズベリー | 41 kcal | 88.2 % | 1.1 g | 0.1 g | 10.2 g | 4.7 g |
ブルーベリー | 49 kcal | 86.4 % | 0.5 g | 0.1 g | 12.9 g | 3.3 g |
グーズベリー | 52 kcal | 85.2 % | 1 g | 0.1 g | 13.2 g | 2.5 g |
ぐみ(シルバーベリー) | 68 kcal | 81 % | 1.3 g | 0.2 g | 17.2 g | 2 g |
この表を見ると分かるように、水分率が高ければカロリーが低く、水分率が低いとカロリーが高いことが分かります。
イチゴは90%が水ですが、ぐみの水分率は81%です。
表の右に目をやっていくと、たんぱく質、脂質、炭水化物、食物繊維のグラム数が表示されています。基本的に果物は主食としてエネルギーを摂取するものというよりかは、ビタミン・ミネラルなどのミクロ栄養素を摂取するためのサポート的な食材なのでどの数値もそれほど高くありません。
食物繊維を取るならラズベリーがおすすめ
個人的に注目したのは一番右に表示されている食物繊維量。食物繊維は体に必要と言われるものの普段の食事からは取りにくい成分なのですが、ラズベリーには100gあたり4.7gも含まれています。
いちごの食物繊維量が1.4gなので100gあたり3倍以上の差があります。スーパーではラズベリーの値段の方がイチゴよりも高いですが食物繊維を取るなら少し多くお金を払ってラズベリーを食べることをおすすめします。
ちなみに、日本では価格の高いラズベリーですが、私がベルリン旅行中に何度か通っていたスーパーでは100g入ったラズベリーのパックが1ユーロ弱(約150円ほど)で売っていました。日本はフルーツの価格が海外より高いのでこの点は少し残念ですね。
ベリー類のミネラル類を比較
続いてベリー類のミネラルを見ていきます。ミネラルと言えば鉄分・亜鉛、マグネシウムなどの名前をよく耳にしますね。それぞれ何mgの栄養が含まれているか見ていきます。
果物名 | ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 | マンガン |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
いちご | 微量 | 170 mg | 17 mg | 13 mg | 31 mg | 0.3 mg | 0.2 mg | 0.05 mg | 0.2 mg |
ラズベリー | 1 mg | 150 mg | 22 mg | 21 mg | 29 mg | 0.7 mg | 0.4 mg | 0.12 mg | 0.5 mg |
ブルーベリー | 1 mg | 70 mg | 8 mg | 5 mg | 9 mg | 0.2 mg | 0.1 mg | 0.04 mg | 0.26 mg |
グーズベリー | 1 mg | 200 mg | 14 mg | 10 mg | 24 mg | 1.3 mg | 0.1 mg | 0.05 mg | 0.15 mg |
ぐみ(シルバーベリー) | 2 mg | 130 mg | 10 mg | 4 mg | 24 mg | 0.2 mg | 0.1 mg | 0.1 mg | 0.15 mg |
ミネラル類ではラズベリーが圧倒的です。ここではミネラル類の中でも9種類を掲載していますが、ラズベリーがトップの数値をほこる栄養素は9分の6項目もあります。
カロリー含有量ではぐみが一番多く、ラズベリーのカロリーは下から2番目だったものの、ミクロ栄養素ではラズベリーがピカイチですね。
こうして順番に見ていくとカロリーとミネラル類の含有量がかなり違うことに気づけると思います。カロリーが多い=すべての栄養が多い訳ではないのです。
ベリー類のビタミン類を比較
最後に比較するのはビタミン類です。ベリー類はビタミンCの含有量が多いイメージがありますが、実際の数値はどんなところでしょうか。
果物名 | β-カロテン | レチノール活性当量 | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
いちご | 17 µg | 1 µg | 0.03 mg | 0.02 mg | 0.4 mg | 0.04 mg | 90 µg | 0.33 mg | 0.8 µg | 62 mg |
ラズベリー | 10 µg | 2 µg | 0.02 mg | 0.04 mg | 0.6 mg | 0.07 mg | 38 µg | 0.43 mg | – µg | 22 mg |
ブルーベリー | 55 µg | 5 µg | 0.03 mg | 0.03 mg | 0.2 mg | 0.05 mg | 12 µg | 0.12 mg | 1.1 µg | 9 mg |
グーズベリー | 120 µg | 10 µg | 0.02 mg | 0.02 mg | 0.2 mg | 0.02 mg | 47 µg | 0.4 mg | – µg | 22 mg |
ぐみ(シルバーベリー) | 330 µg | 32 µg | 0.01 mg | 0.04 mg | 0.3 mg | 0.02 mg | 15 µg | 0.45 mg | – µg | 5 mg |
ミネラル類ではラズベリーの数値が際立っていたものの、ビタミン類はまた違う結果となっています。
一番左の列に表示されているβカロチンの量を見ても明らかですね。ラズベリーに10μgしか含まれていないβカロチンは、ぐみに330μg(33倍)含まれています。
同じようなことは他のビタミンにも見られて、ビタミンB類はラズベリーも比較的優位ではあるものの、葉酸・ビタミンCではイチゴがもっとも多く栄養を含んでいます。
ちなみにイチゴの葉酸含有量90μgというのは、果物全86種類の中でも第3位とトップクラスの含有量です。いちごのカロリーは34kcalとかなり低いのに葉酸含有量ではトップ3なのです。
こうしてみるとどの果物がどの栄養素において強い(栄養豊富)かを知っておくことがとても重要だと分かります。
まとめ:ミネラルならラズベリー、ビタミンならイチゴ
今回はイチゴをはじめとする5種類のベリー類の栄養素を比較してきました。
一概に〇〇が栄養豊富だとは言い切れないものの、ミネラル類を摂りたいならラズベリー、ビタミンが比較的豊富なのはイチゴという結果と言えそうです。
もちろんここまで比較してきたのは栄養素だけなので、実際に食べようとなるとその果物が、
- どれぐらい手に入りやすいか
- どれぐらい安いか
- どれぐらい美味しいか(たくさん食べられるか)
など栄養以外に様々な課題があるはずです。個人的な意見を最後に言わせてもらうと、上で見てきたベリー類ならイチゴが上の項目をすべて満たしやすい果物ではないかと思います。
もちろんイチゴに含まれている栄養素が全食品の中で圧倒的に高いかというと、そうでもないのでイチゴだけを食べて栄養を摂取しようとせずに他の食品やサプリメントも適宜取る必要があります。
*データの参照元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
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