値段は高いものの低脂質かつ高たんぱく質で人気が高い馬肉(ばにく)。肉の中でもトップクラスの低脂質さと栄養豊富さで筋トレ好きやダイエット好きの間で話題になっていますが、実際の栄養素はどれぐらい含まれているのでしょうか。
私個人としても馬肉の味は好きなので馬肉専門店にも足を運んだことがあるのですが、牛肉よりも豚肉よりも低カロリーかつ栄養豊富!とは聞くものの、本当に馬肉が肉類の中でナンバーワンなのかは気になっていました。
今回はそんな疑問に応えるために実際に馬肉をはじめとする6種類のお肉のカロリー、三大栄養素、ミクロ栄養素を調べて比較してみたのでその結果を報告します。
目次
生肉100gあたりのカロリーを比較する
まず比較するのは、馬肉、牛肉(ヒレ肉)、豚肉(ヒレ肉)、鶏むね肉、鳥ササミ肉の5種類です。牛肉と豚肉はヒレ肉の赤身データを利用しています。5種類のカロリーがこちら。
名前 | エネルギー(kcal) |
---|---|
牛肉(ヒレ肉) | 133 kcal |
豚肉(ヒレ肉) | 130 kcal |
鶏むね肉 | 121 kcal |
鳥ささみ肉 | 114 kcal |
馬肉 | 110 kcal |
前評判通り5種類の肉類の中では馬肉のカロリーがもっとも低くなっています。100グラムあたり110kcalしかカロリーが含まれていないのは凄いですね。カロリーを気にしている人から人気が高いのも頷けます。
一番カロリーが高い牛のヒレ肉でも133kcalで、ここであげた肉類はどれも筋トレ向け食材ではトップクラスです。
このデータだけを見て馬肉が肉類でも最強だと判断する人は多いですが、今回はせっかく肉類のデータ一覧を見ていたのでもう一種類、栄養価の高い肉を追加します。それがクジラ肉です。
馬肉とクジラ肉のカロリー比較
馬肉は肉類の中でも最もカロリーが低いと一般的には言われているのですが、調べてみるとクジラ肉のほうが若干カロリーが低くなっています。
名前 | エネルギー(kcal) |
---|---|
馬肉 | 110 kcal |
クジラ肉 | 106 kcal |
クジラを肉類に含めるかは判断が分かれるところですが、クジラも哺乳類の一種なので肉類としてカウントしています。意外な形で馬肉のライバルが登場したわけですが、カロリーだけ見てみては詳しい栄養価は判断できません。
そこでここからは三大栄養素を含めた6種類の肉類の栄養価を比較していきます。
馬肉と5種類の肉類の三大栄養素を比較
名前 | エネルギー(kcal) | 水 分 | たんぱく質 | 脂 質 | 炭水化物 |
---|---|---|---|---|---|
牛肉(ヒレ肉) | 133 kcal | 73.3 % | 20.5 g | 4.8 g | 0.3 g |
豚肉(ヒレ肉) | 130 kcal | 73.4 % | 22.2 g | 3.7 g | 0.3 g |
鶏むね肉 | 121 kcal | 72.8 % | 24.4 g | 1.9 g | 0 g |
鳥ささみ肉 | 114 kcal | 73.2 % | 24.6 g | 1.1 g | 0 g |
馬肉 | 110 kcal | 76.1 % | 20.1 g | 2.5 g | 0.3 g |
クジラ肉 | 106 kcal | 74.3 % | 24.1 g | 0.4 g | 0.2 g |
こうして比較すると馬肉好きの人には申し訳ないのですが、カロリーを見ても、たんぱく質を見ても、また馬肉のウリであった脂質の量を見てもすべてクジラ肉に軍配が上がっています。
クジラ肉のたんぱく質24.1グラムと脂質0.4グラムは圧倒的ですね。もちろん低カロリーの方が必ずしもいいというわけではないのですが、筋トレをしていたりダイエットをしている人にとってはお金を気にしないのならクジラ肉の方が数字の上では良さそうに見えます。
ミクロ栄養素を比較
名前 | ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 | マンガン |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
牛肉(ヒレ肉) | 45 mg | 370 mg | 4 mg | 24 mg | 180 mg | 2.8 mg | 2.8 mg | 0.11 mg | 0.02 mg |
豚肉(ヒレ肉) | 56 mg | 430 mg | 3 mg | 27 mg | 230 mg | 0.9 mg | 2.2 mg | 0.07 mg | 0.01 mg |
鶏むね肉 | 34 mg | 210 mg | 5 mg | 26 mg | 150 mg | 0.4 mg | 0.7 mg | 0.05 mg | 0.01 mg |
鳥ささみ肉 | 40 mg | 280 mg | 8 mg | 21 mg | 200 mg | 0.6 mg | 2.4 mg | 0.09 mg | – mg |
馬肉 | 50 mg | 300 mg | 11 mg | 18 mg | 170 mg | 4.3 mg | 2.8 mg | 0.11 mg | – mg |
クジラ肉 | 62 mg | 260 mg | 3 mg | 29 mg | 210 mg | 2.5 mg | 1.1 mg | 0.06 mg | 0.01 mg |
ミクロ栄養素の中から最初はミネラル類についてです。上の表を見てざっと比較する限り、全体的に馬肉の栄養価が他の食材よりも優れているのが分かります。
クジラ肉と比べても鉄分、亜鉛、銅など複数の項目で馬肉の含有量が上回っています。
ビタミン類の含有量を比較
名前 | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
牛肉(ヒレ肉) | 2 μg | 0.1 mg | 0.25 mg | 4.7 mg | 0.39 mg | 2 μg | 5 μg |
豚肉(ヒレ肉) | 3 μg | 1.32 mg | 0.25 mg | 6.9 mg | 0.54 mg | 0.5 μg | 1 μg |
鶏むね肉 | 20 μg | 0.06 mg | 0.1 mg | 8.4 mg | 0.47 mg | 0.2 μg | 5 μg |
鳥ささみ肉 | 18 μg | 0.09 mg | 0.12 mg | 11 mg | 0.66 mg | 0.1 μg | 7 μg |
馬肉 | 2 μg | 0.1 mg | 0.24 mg | 5.8 mg | 0.02 mg | 7.1 μg | 4 μg |
クジラ肉 | 微量 | 0.06 mg | 0.23 mg | 11.9 mg | 0.46 mg | 2 μg | 4 μg |
ビタミン類をみるとミネラル類ほど馬肉一強というわけではないことが分かります。ビタミンと一口に言っても多種多様なのでそれぞれの肉類にそれぞれ強みがあると言っていいでしょう。
まとめ:生食できることが馬肉の強み
今回は馬肉の栄養価を他の肉類と比較してきました。
個人的には馬肉の強みというのは生のまま食べられることだと思っています。単純に数字だけをみるとクジラ肉の方が優秀だったり、価格をみると鶏肉の方が良いのですが、だからと言って安価でクジラ肉が流通しない限り馬肉の立場が崩れることはないように思えるので、馬肉人気が衰退することはなかなか無いのではないでしょうか。
*データの参照元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
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